あなたは、ワインのランクについてご存知ですか?フランスやイタリアなどのワイン製造国には、国が定めた法律による厳しい規定のもと、素晴らしいワインが毎年厳選され、ランク分けされています。
ワインのランクを学んでおくと、好みの種類や品質の良いワインを見分けられるようになりますよ!
また、あまりワインに詳しくない方も格付けの基準を知っておくとランクの良いワインを選べるようになるので、贈り物などの際に役立ちます!
ワイン好きなら知っておきたい、ランクやその見方について詳しく解説します!
AOCやDOCっていったい何?ワインのランク(格付け)はこれを見ればOK!
1. フランスワインのランク付け

まずはワイン王国と名高いフランスによるフランスワインの格付けについてご説明します。
フランス全土における分類の他に、名産地の地域ごとで独自のランクがあったりもするので完璧に覚えるのは大変ですが、こんな分け方があるんだ、とぼんやり覚えておくだけでもワイン選びに役立ちますよ!
◎AOC法とAOP法
世界最高のワイン生産国であるフランスは国で定められたワイン法があり、その法律が2008年までは「AOC法」、2009年からは「AOP法」と呼ばれています。現在施行されているのはAOP法ですが、伝統的なAOC表記を行っているワインもまだ多いため、どちらもなんとなく頭に入れておくと良いでしょう。
・AOC法
1935年に国立委員会が設立され、委員会によって試行錯誤の上に割り出された醸造方法や葡萄の栽培方法などの条件をクリアしたワインのみがその原産地の名称を許可されるというAOC(Appellation d’Origine Controlee/原産地統制呼称)が法制化されました。
AOC法では上位から順に「AOC」「A.O.V.D.Q.S(上質指定された原産地呼称)」「Vin de Pays(フランス産限定地域)」「Vin de Table(輸入果実などを使用したブレンドワイン)」の4つに分類されます。日本で例えるなら「岩手産」「東北産」「日本産」のような感じですね。実際にはAOCを名乗るには原材料の産地や品種、地域などまで定められてます。
・AOP法
その後2009年からEUの規定の変更により、品質分類は4から3カテゴリーに分けられ、AOP法となりました。基本の考え方はAOC法と一緒で、「AOP」とは品質分類の最上級を意味し、使用品種や醸造所、生産法などが細かく定められています。AOPは日本語では「原産地呼称保護ワイン」と呼ばれており、特定の産地で生産される上級ワインということの証になります。また、日本に輸入されるワインはほとんどがこのワインだとされています。
AOPの一つ下のランクに位置する「IGP」は、畑まで細分化されている「AOP」よりも保護している区分けが広く規定も緩やかなのが特徴。なお生産地域や使用品種などは細かく定められています。日本語では「地理的表示保護ワイン」と訳され、地酒とも呼ばれています。
一番下のランクに位置する「Vin de Table」は地理的表示のないワインであり、気軽なテーブルワインの区分で自由に造られるワインです。
一言でまとめると、AOPが特定の産地で造られる上級ワイン、IGPが生産地域の表示があるテーブルワイン、Vin de Tableが生産地域の表示がない下級のテーブルワインということになります。
ただし、この格付けは質の良さを表すものではなく、規定のクリアがその基準となっているため、品質的には最上級にも劣らないワインあっても生産者の意向によってわざとVin de Tableとして販売している場合もあります。
しかし、一般的には「AOP」のワインほど自然と質がいいものであることが多いようです。
◎ボルドーワインのランク付け
ボルドー地方のワインは、ワインを生産するシャトーごとにランク分けされています。シャトーとは、葡萄畑を所有し、ワインの製造を行う生産者のことです。
ボルドー地方には、この格付けがある地域と格付けそのものがない地域が存在します。また、シャトーの格付けの表示は、さらにボルドー地方内の各地域によって異なります。
ボルドー地方の中でも、赤ワインの代表的な産地として有名なメドック地方は約500のシャトーがありますが、そのうち格がつけられているシャトーは61です。
この61のシャトーを1級から5級までにランクにした格付けは、1855年のパリ万国博を機に定められ、長い歳月が流れた現在においても効力をもつ基準になっています。
1級は「ボルドー5大シャトー」と呼ばれる5銘柄で、ワイン好きには馴染み深い「シャトー・オ・ブリオン」などを含みます。2級、3級はそれぞれ14銘柄、4級は10銘柄、5級は18銘柄です。
メドック地区以外の格付けがある地区では、「1,2,3,4,,,」というように順位によるランクではなく、「推奨銘柄」として最良質ワインを厳選するところもあります。
◎ブルゴーニュワインのランク付け
◎ブルゴーニュワインのランク付け
赤・白共に優れたワインを生産するブルゴーニュ地方では、「畑」を格付けとして考えます。
上から順に「特級畑」「第1級畑」「村名」「地方名」の4つに格付けが分かれます。
最上級である特級畑は、銘柄名として畑の名前だけが表示されます。「第1級畑」は村名と畑名、あるいは「プリュミエクリュ」や「1er」といった表記になります。
村名ワインは村名が銘柄名になり、地方名ワインは地方名である「ブルゴーニュ」が銘柄名になります。
つまり、「AOP」の生産地名が狭い範囲であるほど上級であるという表記になるのです。
2. イタリアワインのランク付け

イタリアのワインの格付けは、1963年に制定されたワイン法に基づいて規定されています。ランクとなる区分を上位から順にご説明していきます!
◎伝統的な格付け
イタリアのワイン法は1963年に制定されました。イタリアでは生産地や品種、製法などを細かくチェックし「DOCG」、「DOC」、「IGT」「VdT」の4つに分類しています。
・DOCG
DOCG(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)は日本語に訳すと、統制保証付原産地呼称ワインとなり、イタリアワインの格付けの中でも厳正な規制が設けられているものです。
申請の前には少なくとも5年間、一つ下のランクのDOCのカテゴリーに属し続けていなければなりません。
また、視覚・嗅覚・味覚の検査やワインの最低生産量の条件を承諾する必要もあります。
さらに農林省や商工会議所の化学物理検査を受け、ボトルには政府が許可したことの証となるシールが貼られます。
ワインの格付けは毎年その見直しが行われるため、DOCの数にも変動があります。
イタリアワインの中でも有名で、ワイン好きなら誰もが飲んだことがあるようなワインもあれば、日本に輸入されていないマイナーなものまで様々な種類があるようです。
・DOC
DOC(Denominazione di Origine Controllata)は日本語に訳すと、統制原産地呼称ワインとなります。DOCには、一定の審査が定められており、栽培から出荷に至るまで全ての生産過程を規定に基づいて行う必要があります。
また、瓶詰めの際には必要条件の審査や、化学物理検査が行われます。
・IGT
IGT(Indicazione Geografica Tipica)は日本語に訳すと、地域特性表示ワインとなります。
IGTは1992年に新設された、比較的若い格付けのランク。生産地の名前が用いられるため、その地域の葡萄を最低でも85%使用することが義務付けられています。
IGTにはワインの生産地域、認められている葡萄の品種、その地域での最大生産量、アルコールの最低度数などを条件とする規定があります。
・Vdt
Vdt(Vino da Tavola)は日本語に訳すとテーブルワインとなり、イタリアワインの格付けの中では一番緩い規定が制定されています。
最低の基準はあるものの、細分化された規定などの縛りがないため、独創的なワインメーカーや生産者が独自の感性で自由にワインを作ることを許されています。
◎現在はEU法も
イタリアではフランスのAOCに倣ってイタリアワインの格付けとしてDOCが制定されました。
しかしもともと原産地の保護を優先しすぎるあまりワイン自体の品質においては不備がある法律だったため、何度かの改正が行われました。2009年にはEU域内のワインの法的規制によってDOCGとDOCがDOPに、IGTがIGPに、VdTがVINOに再分類されましたが、EU表示の普及が進んでいないため、現在市場に出荷されているイタリアワインのほとんどは伝統的表示を採用しています。
◎格付けの他に質による分類も
伝統的なイタリアワインの格付けのDOCG、DOCワインについて、質の分類を表す事項がボトルに表示されることがあります。生産地のみならず、品質の高さにこだわりたいという方は、質による表記にも注目してみましょう!
・CLASSICO
土地特有のワインを生産してきた長い歴史を持つ、特定の地域を示すマーク。このマークは、伝統とワインとしての洗練された「上質さ」を証明するものです。
キャンティやソアーヴェなど、イタリアワインの有名なものにもこのマークがついています。
特に、キャンティクラシコには黒い鶏の紋章が施されたマークになっており、一種のブランドとして多くのワイン好きから支持を集めています。
・RISERVA
貯蔵熟成を示すマーク。アルコール度数や原産地ごとに決められた一定の熟成期間が、マークの基準となります。
DOC、DOCGのワインには通常このマークが付くワインと付かないワインがありますが、ついているほうがより良質だと言えます。
称号を手にするには、地域で定められた期間より、少なくとも2年間熟成させていなければなりません。
地域によっては、それ以上の期間が必要な場合もあります。
・SUPERIORE
ワインはアルコール度数や熟成期間による規定をクリアする必要があります。
このマークのワインは、それぞれの地域の規定のアルコール度数を少なくとも1%は超えていなければなりません。また、銘柄によっては熟成期間を規定する場合もあります。
しかし、1992年の新規定によって、廃止方向の分類基準になりました。
AOCやDOCっていったい何?ワインのランク(格付け)はこれを見ればOK!
- 1. ワイン大国のフランスは、生産地区によって細かい格付けの基準がある!ランクにヒントをもらいながら、好みのものを見つけてみよう!
- 2. イタリアは伝統的なランク分けが文化として根強く残っている!質の格付けのマークは、良いワインを見分ける強力なヒントに!
ライター後記
ワインは、国の違いはもちろん、地方や生産方法、熟成期間によって全く味が異なる繊細なお酒。
ワインは知れば知るほど、奥が深いものであり、一つの文化として愛され、世界中でたくさんの人々を虜にし続けていますよね。
私もワインが好きなので食事の際は飲むこともあるのですが、何を基準に選んだら良いのかわからない時が多いというのも正直なところです。
格付けのランクの基準や国別の特徴などを少しでも知っておくと、いざという時に選びやすくてとても良いなと思いました!
ワイン好きの人はもちろん、あまりワインに馴染みがない人もぜひ、知識として頭に入れておいてはいかがでしょうか!
ミウラ コト
少しでも知っておくと、もっとワインを楽しめますよ!
バンド活動に励みながら、ライター業を勉強中。美容はもちろん、グルメや恋愛にも興味あり!好奇心旺盛ガールです。