去る11月11日に初体験をすませました。
マリンバ&パーカッション奏者の千田岩城くんの即興演奏にあわせて人前で絵を描いたのです。
つまりはライブペインティングというものを始めて行ったわけですが、
その日に来られない人からレポートを書いてね、などと言ってもらったのでここに記してみることにする。
ライブペインティングの話は、千田くんがある夏の午後に突然電話をくれ、
もしそうしたことに興味があったらやりませんか? と声をかけてくれたことにより、トライする運びとなった。
人生のそうしたことが、自発的でなく人からのお声がけでやってくることが多いぼくのようなタイプを、
ラッキーだ、という人もありましょうが、声をかけてもらう場合とは選択をせまられるわけでもあり、
臆病者のぼくは、いつもいつも躊躇してしまう。
けれど今回は、相手が千田くんという友人だったことと、
その予定が半年以上も先のことだったため、かなり気楽に「やる!」と即答できた。
それからの約半年は特にライブペイント準備はせず、
ただ、日々のことをしているうちに、気がついたら秋がきてしまった。
近づいてくると焦るのは想定内だったのだけど、この度の思いがけないハードルは集客だった。
黙っていても誰かが見にきてくれるような有名人じゃないということが頭から抜けていた。
告知をしたものの、「行きます」という参加の連絡はほとんどなく、
なんだかその状況に心が少しずつ沈んでいった。
会場をお借りしてのイベントだったので、会場費がかかる。
それは、折半すればそれほどの大金ではないと感じたのでひとまず良いとしても、
人がほとんどいない状態でのライブペイントってどうなのだろう?
逆に、わずかの観客が気まずいんじゃなかろうか? と心配が募る。
そんな時、25年来の友人が「行くね。あとは宣伝活動を頑張らなきゃね!」とメッセージをくれた。
いわずもがな、宣伝活動しろよ、なのですが、ぼくはその言葉に目がさめた。
そうか、それを頑張ることも今回の課題だったのだ!
そうして頑張ることを決め、SNSやらでたくさん投稿をし始めるが、まだ「YES」の声は少ない。
チラシをつくり会った人に渡すも「行きたい」、「行けたらいくね」。
人前で絵を描くことよりも、人を集めることへのプレッシャーや不安が圧倒的に大きいだなんて思いもしなかった。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
そこで、目に付いた本をパっと開く。飛び込んできたのは「家族」という文字。
そうか。「お客さん」って思うから、誘うことをこんなに躊躇するのか。
これは人を楽しませるショーではなくて、
これまで誰の目にもふれない安全空間で自己解放的に描いていた絵を、人目を気にしないから出せる自分を、
外の世界にさらす自分のための機会。自己開示セッションなのだ!
そして、それを観測してくれる人とは、ぼくの誕生を待つ”家族”なのだ。
そのように行為の定義を捉え直した。
ふわっと浮かんできた顔、名前があった。SNSを誰もが見ているわけじゃない。
会の定員は30名。その時の参加者は3名。
思い浮かんだ人から順番に27人に連絡してみよう。そう思った。
その晩、1時間くらいかけてひとりひとりにメッセージを送った。
すると、返事がどんどんやってきて、10人弱くらいの人が来てくれることになった。
もちろんNOの返事もあったし、だったらあの人にもこの人にもとと顔はどんどん浮かんだ。
けれど、これ以上ダイレクトにお誘いすることは今回は控えようと思った。
なんとなく、そういうものじゃないって思ったのだ。
ちなみにこんなことを言うと重たいかもしれないけれど、
個展の案内状を出すときは、宛名書きなどをしながらその人のことを想像している。
元気にしているだろうか。また会う日はやってくるだろうか。この先なにかを一緒にすることがあるだろうか。
なんというのだろう、目に見えないご縁という糸をハガキにたくしているような気持ちになる。
さて、結局は、24人のお客さんがやってきてくれた。
カレと大家さんにはスタッフになってもらい搬入から設営まで手伝いまくってもらった。
ぼくと千田くんと、会場の公園通りクラシックの方を含め、ぜんぶで29人が集う場となった。
人ではないが大きな絵をプラス1としたら定員ぴったりとなった。
絵はひとまず、設定した人数が集えたことがまずは大成功だと思った。
ライブペインティングレポート、つづく。
ニュー男子 拝