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【ニュー男子】リバーサイドメモリー



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前にもそんなことを書いた気がしますが、過去の自分との再会は面白いものです。 ぼくというこの人は、そうしたことを真面目に思い、 先日思い立って、かつて実家があった地元へとひとり足を運んでみた。

ふしぎなもので時々、目覚めた瞬間に「あ!」ってな勢いで、海!森! あの人! などという閃きのようなものが起こる。 この度のそれは「地元の川!」 でありましたが、 「そこへ行ったところで何の得があるの?」と早速大人のぼくより激しい反発。 ならばあなたの言うことをききます、川へは行きません。で、この午後をどう過ごすのです? と、青いぼくが切り返すと、働きなさい、ニュー男子書いたり絵を描いたり、 じゃなかったら家のことなどいくらでもやることがあるのはわかるでしょ?

それはたしかにそうなのだけど、この日の自分にはみじんもリアリティを感じられなかった。 いつもと同じ、エキストラみたいな1日になりそう、って思った。

ということで、時間もお金も労力ももったいないぞ、ってな捨て台詞をスルーして、 車に乗りまして、高速道路をとばしまして、神奈川県西部のわが故郷へ向かった。

実家がその地を離れてからもう20年近くになり、 地元で暮らす友達はひとりもおらず、親戚もなければOB顔で尋ねられる元バイト先なんてものもない。 つまりはそこへ行く理由はなにもない。 だから、数えるほどしかかつての地を訪ねていないのですが、結論から言いますと、行ってよかった!

まずは小中学生時代に食べていたアーモンドというパン屋へ行き、 「なつかしいー。まだあったー」ってな感傷という若干の上から目線で店内をグルりし、 調理パン3つとパックのコーヒー牛乳を求めた。

そのパンらを携え川へ。 なつかしい川は、さほど変わっていなく、とても静かだった。川べりに座りランチ。 人もおらず動物もおらず、彼岸花ばかりが燃え盛るように咲きまくり、 ちょっとした天国みたい、と思った。 10分もかからない昼食後は川沿いを牛歩みたいなペースで歩いた。

水がざーざーと流れゆく音は天然のヒーリング音楽だなあ。 ふみしめる土は靴越しでもほのかに温かく感じられ、足元から毒素が抜けていくよう。 あ、この匂い。どこかで草木なのかが燃やされている。 あぁ、そういう時間を知っている。 ぼくはこの匂いもそれをする行為も、それをしている人の雰囲気もすごく好きだった。 火と向かい合う大人って格好良く見えた。 あ、この風の匂いも知っている。そして空の青と雲の白のこの塩梅も知ってる。 そう、世界はうんと小さくて、だけど想像でどこへでも行けて、未来はずっと先で、 きっと大人は大変で、いついつまでも子供でいたいのになあ。 つかの間ぼくは小学生になっていた。50mダッシュとかもできそうなくらいに。

その後、車で市内をあてもなく走った。 家から駅、駅から家、図書館の前、父の会社があったとこ、ピアノの先生の家、中学校、 床屋、公民館、おおきい川、友達と待ち合わせした通り、かかりつけの病院、 気分は完全に山崎まさよしですよね、こんなところにいるはずもないのに、いつでも探してしまう、どこかに君の姿を。

ぼくが探していたのは過去。完全に守られていた幸福の断片。母の面影。いちばん臆病で繊細な自分。

はたしてそれは見つかったのだろうか、よくわからない。 町中に防犯カメラが設置され誰かが監視していたとしたら「この車、不審!」とマークされるだろうレベルで、 同じようなところを何度も何度も違うルートで走るうち日も暮れた。 執拗に、今度は夕焼けの空の感傷タイムから、夜にいやいや通った少林寺拳法などというメモリーもたぐりよせるうち、 ぼくは悟ったのであります。あの頃の二人はもうどこにもいない(byユーミン)と。

自分が獲得せずとも衣食住が与えられ、風邪でもひけば口元まで食事が運ばれる完全なる安全というひとつの幸福の時代は、 もうどこにもないのだな。ここにあるかと思ったけど、町は似ているけれど知らない町だし、 ここに暮らせばあの安寧を取り戻せるかとどこで夢みていたけれど、それはたぶん無理。

この狭そうなコミュニティに、ヒゲ面ほぼ無職の40がらみの男が同じような男とたくさんの猫と居を構えたら、 あきらかに地域の話題になりそうで、怖がられそうで、 ”怖がられているはず”というわが思い込みはぼくを相当疲れさせるだろう。 瞬間の絶望。それから”復興”のような感情がむくむくとわいてきた。

この土地はぼくには御用済み。 今は東京西部のあそここそがわが家で、カレこそがぼくの家族。 今日のぼくは、あの人と猫らと生活をし、守られるだけの存在ではなく誰かを守り育む経験の時なのだ。

何度もその言葉をかみしめ、我に返ったように「帰ろう!」。 脇目も振らずに高速道路を目指し、もう寄り道をすることなくまっすぐ家へ帰った。

この超個人的な話に、ごめんなさい、なんとオチはありません。ただ書きたくて書いてしまった……。 でも、誰しも自分の中にかつての私は眠っているのではないかな、と思うのです。 そして、内なる子供の私とつながることで、忘れていた夢や失ったと思っていた感性などを取り戻せるのではないか、とも思います。 ということで、秋のご予定に「過去の私との再会」なんてのもいいかもですね!

以上、本日はスーパーミーミー雑記に最後までお付き合いいただき誠に誠にありがとうございました!
ニュー男子 拝

 





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