もっかひとつ屋根の下に暮らす彼は恋人でして、出会ってから10年と半年くらい経つだろうか。
こういうことを書くとノロケと思われそうですが、やはりこの人はぼくの運命の相手なのだな、と今日も思う私です。
というのも、彼と出会わなかったらぼくの人生は、おそらくまるで違うものになっていたと感じるから。
今や「アンタといえばスピリチュアル」と言われるほど(自分が言ってる)のアイデンティティの核なるそれへの入り口は、
どうしてもこの人と付き合いたいという気持ちであったからであります。
それまでも自己啓発本や薄めのスピリチュアル本は好きでしたが、
そんなものに頼らなくとも仕事は順調だったし(好きで、不満ないほど稼いでいた)、
強い依存的傾向がゆえんか、ひとりの人と半年もつづかなかったが、カレシにも困っていなかった。
けれど、今の彼と出会い、それまでに培ってきた恋愛テクニック的なことが通じない宇宙人のようなその人に面倒なことに執着してしまい、
どうしよう、どうしたらいいのだろう、どうなっていくのだろう、と不安いっぱい状態におちいり、
藁をもすがる思いで精神世界にその答えを求めるようになっていったのです。
当時のぼくはなかなかに錯乱していて、
延々と恋人未満の年下男との悩みや愚痴を友人たちにまきちらし、
いまだに「あのときはすごかった」と言われるほどに、周囲の人たちの助けを必要としていた。
セックスは会ってすぐにしていたし、彼の誕生日には旅行(日光!)へ行ったりもして、
そうした要素でいえば無問題でしたが、超絶無口な彼がなにを考えているのかは体を重ねようともまるでつかめず、
もう自分の気持ちをその言葉を使わずに伝える術を思いつかなかったぼくは、
ある日の未明に、おしかけるようにタクシーをとばし中野坂上の彼の家を訪ね、
ぼくはあなたが好きなんです。と、「あいのり」ライクに不安な関係の終止符を求めた。
そんなぼくにむけ彼が発したのは「ぼくは好きではない。人を好きになれるかわからない」。
正確な言葉は忘れたが、たしかにそのようなNOの返事で、むろん打ちのめされた。
それにしても、すごいことを言いますよね。
出会って3ヶ月以上いっしょに過ごし、お泊り旅行まで済ませ、よくもそんなことが言えたものだ。
モンモン毎日に耐える力に限度をむかえ、意を決しての告白が空振りとなり、
落胆しながらも食い下がるようにぼくは「じゃあ、もう会わなくてもいいの?」などと追い込むと、
「それはイヤだ」となり、間をとって(?)「好きじゃないけど付き合う」という謎の形に着地。
そうしてお互いシングル同士であったにもかかわらず、白黒つかぬグレーな恋人という未曾有の関係をスタートさせたのでございます。
って、無名カップルのなれそめなどというどうでもいい話をつらつらと失礼いたしました!
無理やりに意味的なものをねじこみますと、運命の出会いなどというと、ビビビと感じるスイートなものを想像しがちかもですが、
ぼくの人生におけるそれは、かなり手探りで、そうとうビターなものでありました。
もしも運命の相手との出会いを夢見る人がいましたら、
それは苦しくてしんどいケースもある、とその見解をひろげてみると、デスティニーを身近に感じられるかもしれません。
以上、本日はたんなる恋話にお付き合いいただき誠にありがとうございました!
ニュー男子 拝