22日に閉会を迎えた熊本市議会の定例会で、女性市議が生後7カ月の長男を連れて議場入りして話題となりました。女性市議は「子育て両立を訴えたかった」と言いますが、街の声は賛否両論。いろんな意見があるのは結構ですが、聞き捨てならない一言がありました(涙)
子連れ出勤アウト!「議会は神聖なもの」 え?じゃあ子供は?
1. 緒方夕佳市議(42)が子連れ出勤、これっていけない事?

今回の主役となったのは、熊本市の緒方市議です(42)。
市議の任期中に出産したことになり、乳児を抱えた市議会議員です。
公式サイトによると、1歳の長女もいるそうで、40代で乳児二人を抱えて市議もこなすというのはなかなか大変。
そんな自身の経験もあってか、「ためらわずに子育てできる環境作り」を政策に掲げています。
以前は国連に勤務し、35カ国を訪問、紛争や貧困に苦しむ人を少しでも減らしたいという意識が彼女のバックボーンになっているようです。当選一回の新米市議。
あれ? 40代、子持ち、新米のママ市議……お台場方面から聞いたことのあるフレーズが並びますが、佐藤智子さんよりは確実に地に足がついた政治家といえそうです。
そんな彼女が今回、事前の了承を得ず子連れで議場入りしたものだから、議会はちょっとした騒動になった、というのが今回のニュースです。
私も「ダマテンで行ったら、そりゃ他の市議も驚くわよねえ」と思ったのですが、ちょっと具合が違うようで。
“緒方市議によると、妊娠が分かった昨年から市議会に赤ちゃんを連れてくることができないかどうか議会事務局に相談してきたが、前向きな回答が得られなかったため、強行したという。”
結局のところ、長男の議場入りは叶わず、友人に預ける形で議会は40分遅れで開始。
その後緒方市議は涙を流しながら、 「(子育てが)社会問題になっているのに、職場では個人的な問題にされてしまう」と語りました。
2.「議会は神聖なもの」 え?じゃあ子供は?

このニュースに、街の声は賛否両論。
育児経験があろうかというマダムは「いいんじゃない?」とおおらかな発言でしたが、当然、反対意見もあります。
私も正直、締切でてんてこまいの仕事場に、いつ泣くかわからない乳児が急にやってきたら「…お、オゥ」となってしまうと思います。だから、すべての場所に赤ちゃんを連れてきていいとは正直言えないのですが(例:手術室)、何よりも反対意見としてどこぞのおじさまが放っていたこの一言が脳から離れません。
「神聖な場所でしょうが、議場は」
…え? それが理由?
ちょっと待って、百歩譲って議会が神聖な場所だとして、
こ ど も は よ !?
子どもは神聖な場所に入っちゃいけないの?
それが理由? なんですかその合理性ひとつない感情論だけの反対。
と思わず私まで感情的になってしまった。
このおじさんも、ふだんはとても好人物で、たまたま放った一言がうっかり切り取られて全国放送に乗ってしまった、という可能性もあるのでそこはちゃんと踏まえないといけないんだろうけれど、でも「議会は神聖な場所だから子どもダメ」って、つまり「子ども is not 神聖」なわけですよね。
嘘でしょーーー!
子どもは未来の宝ですよ。
とやっぱりヒートアップしてしまうのでした。
3. 世界には子連れ出勤を続けるワーママ議員はいる!
他方、世界に目を向ければ、子連れ出勤を続けるワーママ議員は存在しています。
もっとも有名なのはイタリアのリチア・ロンズーリ議員。
生後6週間のベビーを連れてハイヒールで議会に登場
彼女も猛バッシングを浴びますが、なんのその。生後6週間のベビーを連れてハイヒールで議会に登場。その後もどこ吹く風でバリバリ仕事をしています。リアルwithB(BABY)やんけ!
彼女は皮肉を込めて、イギリスの有力紙・ガーディアン紙のインタビューにこう答えています。
“「欧州議会で子育てに関する問題に数多く取り組んできたのに、メディアは無関心だった。なのに私が職場に赤ちゃんを連れてきたら、こぞって私の話を聞きたいというのだから、変な感じね」”
そして昨年は、スペインの左派ポデモス党の議員、カロリーナ・べスカンサ氏が、スペイン国会に自分の赤ちゃんを連れて行き、やはり批判と称賛を浴びました。
さらにカナダやアルゼンチンでも女性議員が、ときに緒方議員と同じように一種の「意思表示」として赤ちゃんを議場につれてきています。
全体的にその結果は芳しくありませんが、議論を呼んでいることは確かです。
確かに国や自治体の政策を決めるその場で、赤ちゃんがいては話が進まないことはあるかもしれません。
問題は、議会に赤ちゃんを同席させるかというより、国や自治体のリーダーである女性議員が、赤ちゃんを育てながら仕事ができないのは問題だということです。
それでどうして女性活躍といえましょうか。いいやいえない。
(女性活躍という言葉も嫌いですが、さておき)
そして、それを許さない理由が「議会は神聖なもの」というのだとしたら、育児に対する冒涜ですらあると、私は思います。
そんな考えが跋扈する限り、篠原涼子が声を大にしたところでこの国は変わりません。
議場のすぐとなりに託児室を作るもよし、「安心して仕事と子育てができる環境」があることが大事なのだと痛感しました。
そして、女性議員だけでなく、男性議員が子連れ出勤しても構わないわけです。
もういいかげん、母親神話は終わりにしないと、子どもを産みたくても産めない女性が増えるばかり。
そして少子高齢化が進むこの国で、子どもはますます減る一方です。おじさん的にいうなら国力の衰退です。
ちなみに「育児と介護は女の仕事だろ」とかほざいているじいさんは、この先、奥さんにもお嫁さんにも介護してもらえないかもしれないんだからねっ!
赤ちゃんじゃなかった人間はいません。
「子どもが好きかどうか」という話ではなく、産みたいと思った人が経済的にも精神的にも謎な負い目を感じることのない世の中になってほしい!(のに、なんだこれは!)という願いと絶望を、東京都のやや北部から叫びたいと思います。
おわり。
西まごめ
イクメンゲス不倫はどうなりましたか
週刊誌記者を経てフリー編集・ライター。美容男子クレオパトラ担当。