ネクタイは闘う男の愛の証だった
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ネクタイは現代のビジネスマンにとって欠かすことの出来ないアイテムです。
選ぶものによって人への印象を変え、時には商談の結果さえ左右するかもしれません。しかし、そのネクタイの起源、ご存知ですか?
ネクタイの最も古い起源は2世紀初頭と言われていますが、現在のネクタイの原型が登場したのは17世紀です。ブルボン王朝期にルイ14世の警護のためにフランスに駐留していたクロアチア兵が首に赤いスカーフを巻いていました。ルイ14世がそれに興味を示し、側近の者に「あれは何だ?」と訪ねたところ、側近の人間はスカーフではなくクロアチア人兵のことを聞かれていると勘違いをし、「クラバット(クロアチア人兵)です」と答えたことから、このスカーフをクラバットと呼ぶようになったと言われています。そのクラバットがルイ14世により、フランスの上流階級で流行り、それがイギリスに渡り、現在のネクタイの形になったと言われています。
さて、クロアチア人兵は、何故赤いスカーフを巻いていたのでしょうか?
17世紀、ヨーロッパでは30年戦争が始まり、クロアチア人もフランスの傭兵として戦地へ赴くこととなります。
ある青年も例外ではなく、フランスへ赴く兵士の1人でした。その兵士が恋人と別れる際、恋人が彼の無事を祈って赤いスカーフを首に巻きました。彼女の祈りが届いたのか、青年は無事に戦地から戻ったと言います。そんなロマンチックな話は瞬く間に広まり、クロアチアの女性たちは夫や恋人が戦場に向かう時には赤いスカーフを彼らの首に巻きつけるようになったのです。
まさかビジネスマンの必需品であるネクタイに、そんな愛のある物語が秘められていたなんて!
ネクタイ発祥の地、クロアチアのビジネスマンに直撃取材!
クロアチア情報に詳しいCROTABIさんやクロアチアを代表するネクタイブランド「クロアタ」さんにも伺ってみましたが、テレビや雑誌、観光局のPRなど、ことあるごとに「ネクタイはクロアチアが発祥」と謳われているらしく、クロアチアでは常識とのことでした。
「物心ついた時には知っていた」
「歴史の授業で習った気がする…」なんて言うクロアチア人もいるようです。
しかし、ネクタイ発祥の国クロアチアでは、ビジネスマンは殆どネクタイをしないそうです。弁護士など固い職業の人がつけるくらいで、クロアチアのビジネスマンの格好は実にカジュアルなようです。
「ネクタイは葬式か結婚式の時しか身に着けない」という人も多いとか。
うーん、闘うことをやめてしまったのでしょうか…
「戦場から無事に帰ってくるために」
日本の闘うビジネスマンにとって、やはりネクタイは必需品なのかもしれませんね。