負債151億円にものぼる経営破綻から破産を発表した「てるみくらぶ」。今回の件により渡航者や旅行予約者はかなりの被害を受けました。なぜ人気だった同社がここまで経営難になってしまっていたのか?この原因を探ってみました。
てるみくらぶ破綻から見えた!?旅行業界〝破綻予備軍〟が表面化する!?
1.てるみくらぶの経営破綻は必然だった!?
自転車操業で現金を右から左へと流すだけ…被害者多数!!
3月27日、東京地裁に自己破産を申し立て、海外旅行ツアーのインターネット販売で人気だった〝てるみくらぶ〟の破産手続きが行われました。
すでに渡航しているユーザーの中には「ホテルがキャンセルされていた」「航空券の発券が出来ない」など、旅行先では考えるだけでも恐ろしいトラブルに巻き込まれているという…。
“3月27日に負債総額151億円を抱え東京地裁から破産開始決定を受けた(株)てるみくらぶ(TSR企業コード:296263001、法人番号:6011001044153、渋谷区渋谷2-1-1、設立平成10年12月、資本金6000万円、山田千賀子社長)の資産内容が判明した。
独自に入手した試算表によると、平成28年9月期の債務超過額約75億円が、破産を申請する直前の3月23日には約126億円に膨らんでいた。
勘定科目別では、28年9月期に14億円だった現預金が申請直前には2億円へ大幅に減少。一方、前受金は70億円から100億円に30億円膨らんでいた。”
申し込みしたお金は返ってこない!?
負債総額は151億円と、旅行業者としてはリーマンショック後で最大とされる。
総額の内99億円が一般旅行者約3万6000人の旅行代金と見られ、同社によると、旅行代金の弁済はJATA(日本旅行業協会)からの総額1億2000万円分が限度としており、大半が返金されない可能性があるのだという。
負債額から換算しておよそ1%足らず。
すでに申し込み完了している人たちの中には、新婚旅行代金として150万円程支払い済みの方や、今年1年で複数いく旅行代金を全て先に支払ってしまった人も…。
現金一括入金で割引は危ないサイン!!
てるみくらぶは、ハワイやグアムなどの格安ツアーを販売、2016年9月期には売上高が過去最高の195億円を計上していました。
その裏では、現金一括入金に限りの文字で割引を謳うなどの広告を打ち出し、自転車操業の燃料として回していたと簡単に推測できます。
クレジット決済の普及が進み、現在では多くの支払い方法が選べる時代に現金一括入金割引というのは経営が危ないサインであることは覚えておきましょう。
2.旅行ツアー業界には〝経営破綻予備軍〟がいっぱい!?
もはや価格競争以外に生き残れない中小企業たち…
てるみくらぶに連鎖するような形で関連会社で海外旅行ツアーを販売する「自由自在」も営業停止を発表しました。
調査会社の東京商工リサーチによれば、旅行業の倒産件数は近年減少傾向にあり、昨年も倒産ゼロの月はなかったのだという。
この背景には、航空会社が大型機から中小型機の運航にシフトしたことも要因のひとつ。
席の余りを手に入れ販売していた中小企業にとって、格安チケットを入手しづらくなったことで、大手によるサービスとの差別化を図る為には、価格競争を強いられる形になってしまったのです。
ネットの普及で自ら宿泊先や航空券を手配出来る時代。
ユーザーも「より安く良い物」を探すようになった為、業界全体が薄利で売り続けるしかなく、一度赤字になればほぼ抜け出せない自転車操業になってしまうのです。
かくもこの一件により、追加融資などの規制も厳しくなることが予想され、“破綻予備軍”は間もなく表面化してくる予感がします。
◆格安という言葉の危険性
昨年1月にも痛ましい高速バス事故を覚えている方も多いのでは?
あの事故も元をたどれば格安という負のスパイラルによって引き起こされてしまったもの。
今回のてるみくらぶは格安ツアー業者としてはかなりメジャーでしたが、安さだけで選ぶのはもう危険であることをユーザーは認識しましょう。
お金で買える安心があるのなら買うべきだと思います。
自ら買える時代だからこそ判断に自己責任が伴ってくることをお忘れなく!
てるみくらぶ破綻から見えた!?旅行業界〝破綻予備軍〟が表面化する!?
- 1. 価格競争の末の残酷な結末
- 2. 破綻予備軍の表面化も時間の問題か?
- 3. 適正価格には安心がある!!
ライター後記
KING ZAKIYAMA
命を預ける物と牛丼では訳が違うはず!!
小学生の時、HOT DOG PRESSから「モテる=男性の美」に目覚め、現在ではファッション誌からコスメ誌まで全般読み漁っている雑誌&美容ヲタク。美を極めると最終的に「中世的なおばちゃん顔」になるという持論を唱えている。