パソコンやスマホの普及によって、とんと少なくなった「字を書く機会」。ところが大人になれば、結婚式を始めとした「芳名帳」やご祝儀・不祝儀袋への署名など、“大事な場面”で字を書く機会が増えていきます。正直な話、自分の書いた字が汚くて恥ずかしい思いをしたことはありませんか?
年にそう何度もあることではありませんが、イベントとしてはいずれも大きなもの。おまけに名前を書くことがほとんどですので、誰が書いたかまるわかり。少し前に美文字ブームが起こりましたが、字の美醜はその人の「賢さ」イメージにも大きく関係してきます。字が汚いのがコンプレックスという方は、ここでキレイな字を目指しましょう!※2018/05/01更新
字が下手な原因を知って綺麗な字を書くテクニックを学ぼう!
1. 字がうまい人・汚い人。その原因とは?
ペーパーレスな現代でも文字は変わらない
そもそもなぜ字がうまい人と汚い人がいるのでしょう。
根本的には「絵がうまい人と苦手な人がいる」、ということと通底しています。
「字」も線や点の組み合わせで構成されているため、上手に書ける人というのは、簡単に言えば以下の2つの条件を満たしているのです。
①正しい文字の形を記憶している
②その記憶どおりに線や点を引ける
要は視覚的な認知能力やそれを再現する能力が高いということですが、さらにそれを「やろう」とする気持ちを持っている、ということも案外重要なポイントです。
「俺はまだ本気出してないだけ」とはさまざまな場面で使える便利な言い訳ですが、字をキレイに書く際も、たとえ手本の字の形を正しく記憶し、また、記憶通りに線を引ける能力を持っていても「でも、やりたくない」と思えばそこで終わり。
ふだん字が汚い人でも、「本気出せば」、多少キレイな字になるのはそういうことです。
とはいえ、絵と同様「字を書く」という行動にもある程度のセンスが必要です。
上記2つのセンスがもとからある人は、生まれながらにしてきれいな字を書ける傾向があるでしょう。
また、生まれながらにそうしたセンスがなくても、習字を始め、練習を重ねることで後天的に美文字を習得することも可能と考えられます。
というわけで、現在字が汚いとお悩みの方は、
上記2つのセンスを持たずに生まれてきた。
もしくは、
それを矯正する機会がなかった。
のいずれかに該当すると思います。
▼「字が汚い人は頭がいい」説の真偽は?
字が汚い人の中には、周囲はおろか、書いた本人でさえも読めないというつわものも存在します。
もはや「字」の意味すら崩壊していますが、そこでよく聞くのが「字が汚い人は頭がいい」説。悪筆さんの言い訳の筆頭ですね。
この説の真偽は? というと、「半分は正解、半分は不正解」ということになります。
いったいどういうことでしょう?
●悪筆には「天才型」がいる
「書は人なり」といいます。
悪筆の人の中には、先の2つの条件を「やりたくない」人がいるとは先程の通りですが、言い換えると「字をキレイに見せることに執着していない」とも言えます。
拡大解釈すれば、それは「芳名帳で汚い字でも恥ずかしくない」=「他人からどう見られても構わない」というマイペースなタイプ。
他人の目を気にしない、というのは、一般社会ではネガティブに捉えられがちな要素ではありますが、誰もが考えつかなかった新しい発想を生み出すのはまさにこの手のタイプの人。
いわば「天才肌」の人が、悪筆の中には隠れているということから、「字が汚い人は頭がいい」という説が生まれたと考えられます。
もうひとつは、頭の回転が早すぎて、そのアウトプットが追いつかないタイプ。
次々浮かぶアイデアに対して、メモをとる手のスピードが追いつかない、というもので、こちらもやはり「頭はいいけど字が汚い」というパターンに当てはまります。
余談ですが、スマホの音声記録アプリはおろか、ICレコーダーやテープレコーダーもない時代の新聞記者や雑誌記者の字は総じて超汚いです。
これは、録音に頼れないため取材内容をすべてメモする必要があったためで、美しさは二の次、三の次。記録として機能すればよいという目的のもとに、字というよりは記号の域に達しています。
同じ理由で生まれたのが速記文字です。
●美文字に多い「秀才型」
では美文字は頭が良くないのかというと、そんなことはありません。
繰り返しになりますが、美しい文字を書く人は、先天的なセンスを持っていたタイプと、もう1つ、練習を重ねたタイプが存在します。
練習を重ねた人というのは、手本を見てその通りに再現しようとする、真面目なタイプ。規範意識も強いため、几帳面で誠実な人が多いといえるでしょう。
ノートもキレイで、友達からテスト前に大人気となることも多いはず。
悪筆の天才型とは反対に、人から見られることを重視していて、それに応えようとする傾向にあると考えられます。
コツコツと努力を重ねるため、勉強や仕事で実力を発揮することも少なくなく、社会的な信頼を得やすいといえそうです。
というわけで、字が汚い人は頭がいいか問題は、半分正解、半分不正解となるわけです。
このページをご覧になっている人は少なくとも自分の字が汚いことに何かしらの問題意識を持っていると思いますので、頭の善し悪しはさておき、この機会にキレイな字を習得されるといいのではないでしょうか?
2. 文字を書く前に押さえるべきポイント
汚い字の原因は姿勢とペンの持ち方からすでに間違っている!?
ここからは、実際にキレイな字を書くコツをおさらいしていきましょう。
まずは文字を書く前に、押さえて欲しいポイントが2つあります。
◆綺麗な姿勢で書いていますか?
姿勢は、美文字において非常に重要です。姿勢が悪いと体におかしな負荷がかかってしまい、手の動きにも悪影響を及ぼします。
そのため、文字の形が崩れやすくなってしまいますので、まずは猫背をただし、姿勢よく座るように心がけましょう。
◆ペンを正しく持っていますか?
同様に、ペンの持ち方も重要です。
理想的な持ち方は、ペン先から2.5~3㎝あたりを人差し指と親指、中指で軽く握ること。さらに、紙に対してペンの軸を手前に60度、右に20度傾けるとモアベターです。
一度、ふだんの自分のペンの持ち方(及び角度)を確認してみると、正しい持ち方との違いがわかって愕然としますよ(大げさ)。
字を綺麗に見せるのは簡単なコツを押さえるだけ!次のページで詳しく解説!!
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