先日、カジノ法案が衆参両議院で可決されました。単にラスベガスやマカオに行かなくても日本でしかも合法にカジノが出来ると喜んでいる人もいるかもしれません。しかしながら、現実問題としてはどうなのでしょうか?今回はそんなカジノ法案が成立したことによって危惧されている問題点を紹介していきます。
アメリカで「若者のギャンブル離れ」が騒がれているなか、カジノ法案が衆参両議院で可決!
1. カジノ法案成立までの流れ
2016年の年末に急ピッチで可決されたカジノ法案
カジノ法案ってそもそも何なのか皆さん、ご存知でしょうか?
中身も知らないで「ふーん、成立したんだ~いつかはやってみたいな」と言っているのではダメですよ(笑)。
まずは、世間で騒がれているカジノ法案(IR推進法案)とは一体何なのか?その中身をご説明していきたいと思います。
Q.カジノ法案って何?
2016年になって成立に向けて動きが目立ったカジノ法案はよく耳にしましたよね。
これは分かりやすい言い方で、通称として呼ばれているだけです。
正式には「IR推進法案」。
IRとは「Integrated(統合された)Resort(リゾート)」の頭文字をとっていて、日本語で「統合型リゾート整備推進法案」と呼ばれていたりします。
ただ、分かりにくいのでここでは「カジノ法案」と表記させて頂きます。
簡単に言ってしまえば、今まで日本国内においてカジノ(裏や闇カジノ)は「賭博」として刑罰の対象になっていたり、暴力団資金関連のイメージが強かったのですが、国が認可した賭博施設を作ることで「カジノを合法化して誰でも気軽に楽しみましょう」という法案です。
◎カジノ法案成立までの流れ
法律というのは、提案してすぐに可決するものではありません。
大抵ある程度の年月国会で審議され決まっていくものです。
ではいつからこのカジノ法案は考え始めたのでしょうか?
それは2002年まで遡ります。
自由民主党が「国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟」を結束したことから始まります。
2008年には民主党が「民主党新時代娯楽産業健全育成プロジェクトチーム」を発足。
2011年には安倍晋三らが最高顧問を務めていた「国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)」が今のカジノ法案を公表しています。
その後2013年には日本維新の会・自由民主党・生活の党がそれぞれIR推進法案を衆議院に提出し、いよいよ可決というところまで行きましたが、2014年の12月の衆議院解散・総選挙で廃案に。
再び2015年に自由民主党・維新の会・次世代の党が「IR推進法案」を提出し、2016年12月6日衆議院本会議にて可決。
2016年12月14日参議院本会議でも可決され、カジノ法案が成立されました。
一度は足止めを食らっていて、長い年月をかけていると思いがちですが、最終的にはわずか2週間で成立しているのが分かります。
Q.なぜ今カジノ合法化なのか?
2020年には東京オリンピック。
競技施設等で何かと話題になっている東京オリンピックですが、それ以降の経済の懸念がされています。
オリンピックというお祭りは終わってしまえばそこまでです。
それどころかオリンピックに向けて多額の「お金(税金)」を使っていることは確かです。
それがオリンピックを行うことによって賄うことが出来るのか?という懸念も出てきます。
一般企業に関しても然り、それに向けてひとつの大きな目玉にしていこうというわけです。
「クールジャパン」を謳っている今、外国人のインバウンド事業を加速していくためのものというのが大きな考え方としてはあるでしょう。
要するに、カジノを合法化することによって経済的にも豊かになっていくのではないか?という妄想にも近い考えが日本政府の狙いなのです。
2. アメリカでは若者のギャンブル離れが深刻に
カジノ先進国ではギャンブル離れが騒がれています
今や世界140カ国以上で合法化されているカジノ。
アジア圏で見ると、マカオを中心にシンガポール、韓国などで行うことが出来ます。
「これだけ多くの国や地域で合法化されているということは、やっぱり期待できる?」なんて思ってしまいますが、実情はどうなのでしょうか?
世界的にも最も有名なラスベガスがあるアメリカを例にとって見ていきましょう。
【アメリカのカジノ市場】
現在アメリカは50の州で分かれていて、その中の23州でカジノが合法化され、900以上のカジノが存在します。
因みに日本人が多いハワイではカジノを行うことは出来ません。
※実際には合法化されていない州でもカジノは存在するようです。
アメリカでのカジノの種類は商業カジノ(一般的なのがこちら)と、先住民が行うインディアンカジノと2種類に分かれます。
そもそもなぜアメリカ広しといえども900以上のカジノが存在するのでしょうか?
アメリカでは、中央政府がカジノの総量を規制していないから。
アジア諸国等では中央政府が管理している為、少数で抑えられているという仕組みです。
【アメリカでのカジノの現状】
アメリカではラスベガスに続いて、2番目にカジノの合法化がされたアトランティックシティ。
かつて12のカジノが営業していましたが、2014年に一気に5施設が経営破綻によって閉鎖に。
その中には次期アメリ大統領のドナルド・トランプ氏のカジノも含まれていました。
理由としては競争激化に負けてしまったから。
至極分かりやすい理由ですが、これによって多くの人の雇用が失われてしまったことは言うまでもありません。
【アメリカでは深刻!? 若者のギャンブル離れ】
先ほど、競争に負けてしまったから閉鎖に追い込まれてしまったと説明しましたが、こういった理由も考えられています。
そもそもアメリカにおいてカジノ市場というのは過去数年間売上が減少。
カジノの売り上げのほとんどはスロットなのですが、そのスロットを行う人の大半が50歳以上なのです。
では若い世代は何をしているのでしょうか?
現代において、家庭用ゲーム機やスマートフォンゲームが目覚ましい進歩を遂げています。
スマホ一台あれば無料で遊ぶことが出来る時代。
2016年で言えば「ポケモンGO」が世界的に大ブームとなったことも記憶に新しいかと思います。
リーマンショック後の景気や、若い世代のギャンブル離れが増加していることが現状としてあります。
また、今まで安定をしていた観光客に関しても年々カジノを行う人が減少しているという統計も発表されています。
日本におけるパチンコ店やゲームセンターで遊戯する人の高齢化と少し似ているようですね。
エンターテイメントに富んだアメリカのカジノが深刻な状況になりつつある中、一体どんな狙いを持って推し進めたのでしょうか?
3. カジノ法案成立で誰が得するのか?
政府からは具体的な発表が無いままで国民は置いてけぼり!?
では日本でカジノ法案が成立したことで、懸念される問題は一体どんなことがあるのでしょうか?
そして、そもそもカジノ法案成立は誰が得をするのでしょうか?
今後議論されるであろう問題点を一つずつ挙げていきます。
Q.カジノ経営は日本企業が行えるのか?
現時点において多くの国内企業がカジノ市場参入をしようと動き出しています。
さらには、海外で既にカジノを展開している海外企業もこの市場に参入しようと目論んでいます。
ここで気になるのが「どの企業がこの勝負を勝ち得るのか?」
そもそも国内企業がカジノ市場において問題点に関して言えば山積みと言っていいでしょう。
どの日本企業も当然カジノ運営をしたことがないですし、日本において賭博自体前例がありません。
経営的な部分はもちろん、システムやディーラーなど解決が難しい問題が山積み…。
理想的なことを言ってしまえば、日本の経済発展のためには海外企業のみで経営を行うということはできれば避けてもらいたい本音もあるでしょうが、日本企業オンリーではエンターテインメント性を高めるにも時間やコストが掛かる為、海外企業と共同経営での折り合いが妥当?かもしれません。
しかし、ある大手海外娯楽企業の話によると「共同経営はあり得ない」とも言われています。
そうなると結局、カジノにおいて得をするのは海外企業に決まるのかもしれませんね。
仮に日本企業が経営権を獲得できたとしても、「ラスベガスやマカオのようになれるのか?」という懸念も生まれてきます。
Q.カジノの収益ターゲットは一体誰?
先にも話しましたが、このカジノ法案は「2020年の東京オリンピック以降の観光客減少を阻止するために可決された」と言っても過言ではありません。
ただ、先述しましたが、アメリカにおける若者のギャンブル離れは加速傾向にあります。
そもそも世界中に存在しているカジノですから、目玉としてインバウンド事業に出すという発想もしっくりきません。
最初の数年は珍しいという意味では外国人も訪れるでしょうが、結果として存続は国民にかかってくると推測されます。
Q.日本人のギャンブル依存症増加は?
韓国のカジノ周辺には質屋やキャッシング会社が軒を連ね、破産までハマってしまう依存が社会問題になっています。
では日本におけるギャンブルの位置づけはどうなっているのでしょうか?
日本に存在するギャンブルと言えば「パチンコ」を筆頭に、「競馬」「競輪」「競艇」など数多くあります。
特にパチンコに関して言えば、減少傾向があるとは言え、現在でも1万を超える店舗が存在しています。
この数を見てもわかるように日本はすでにギャンブル大国とも言えます。
「10人に1人はギャンブル依存症」こんな興味深いデータも出ています。
カジノが日本で出来るようになれば、これに拍車をかけてしまうことは言うまでもありません。
これ以外にもカジノによって懸念される治安の問題、ギャンブル依存症が増えることによっての破綻者の増加など、様々な問題点が挙げられます。
アメリカで「若者のギャンブル離れ」が騒がれているなか、カジノ法案が衆参両議院で可決! のまとめ
- 1. カジノ法案可決によって外国人観光客を増やしてく!
- 2. アメリカではカジノ市場は若者のギャンブル離れで年々減少傾向にある!
- 3. 国内企業だけでカジノを運営していくには難しい!
- 4. カジノ法案可決によってますますギャンブル依存者増加の恐れあり!
ライター後記
私自身ギャンブルをやらないのですが、周りがギャンブルに熱中していて、その人たちに聞いてみると、総合的には損をしているという話をよく耳にします。
これを聞いてもわかるように「儲かるのは結局のところ胴元だな~」と思ってしまいます。
この胴元が今回のカジノで言えばどこなのかというと、「自治体なのかな?」という気がしてなりません。
トランプ氏が大統領選挙で勝利してから日が浅いうちに、この法案が可決されたところも気になるところですね(笑)。
何はともあれ、場所や治安問題など不透明な部分も多く、今後どうなっていくのか皆さんも注目していって下さいね!
vesa tawast
日本において一切の前例がないカジノ法案は不安だらけ!
結婚1年目、既に看護師の奥さんに尻を敷かれてしまっているフリーライター。家事に仕事に日々奮闘する毎日。