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「母さん、ごめん。」から見る、決して他人事ではない親の認知症

『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』という本をご存知だろうか? 今、Amazon 売れ筋ランキングにおいてベストセラー1位になっている本書は、認知症の母を介護する息子のノンフィクションである。決して他人事ではない親の認知症。あなたは認知症に対してどれだけの知識、そして親が認知症になるかもしれないという危機感をどれだけ持っているだろうか。

「母さん、ごめん。」から見る、決して他人事ではない親の認知症

1.『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』とは


 

『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』は、科学技術が専門のフリーライターの50代独身男性、松浦晋也さんが、認知症になった80歳の母親と暮らす日々を記した、まさに介護奮闘記である。

フリーライターということもあり、文章は読みやすく、かつ内容は、よくある認知症に対しての血のない言葉の羅列という感が否めないガイドブック的のものではなく、ひとつひとつの言葉に血が通い、重みがあり、つまるところ「リアル」である。
机上の空論ではなく、願わくば避けたい過酷な現実との必死の戦いの記録である。
まずこの、『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』という素晴らしい本の内容の詳細や感想を述べてもいいのだが、ここでのテーマは違うので割愛する。

ではここでのテーマとは何か?

 

2. 親の認知症、厄介な未来が訪れる、その高い確率

 

高齢化が進む昨今、必然的に脳に障害が出る割合は増え、高齢者の4人にひとりは認知症、もしくは認知症予備軍と言われている。
すなわちそれは、「認知症になった親を介護しなくてはいけない」という未来に直面する可能性が読者にもあるということである。肉親が認知症になるという事態は決して珍しいことではない、希な話・蚊帳の外の話ではない、ということだ。

とは言っても、美容男子読者層は年齢が若いがゆえに、強い実感、共感、あるいは、「まだ心配することはない」と大半の人が思うだろう。
が、実は今からだからこそできること、今だからこそ厄介な未来を回避できる方法がある、というのがこの記事のテーマである。

ではそれは何か? どうすれば親が認知症にならないのか? 
その前に認知症の種類、そして兆候について説明しなければならないだろう。

 

 

3.認知症とは(老いと認知症の違い)

 

老いによる脳の低下と認知症による脳の低下は、似ているようでまるで違う。

〇老い

・昼食に何を食べたのか思い出せない
・約束した日(予定していた日付)を忘れる
・日時や場所が分からなくなるということはない(初めて訪れた場所は除く)
・「あの人の名前は何だっけ」といった物忘れの自覚がある

〇認知症

・昼食を食べたことを忘れる
・約束した日(予定していた日)、そのもの、つまり約束・予定ごと忘れる
・日時や場所が分からなくなる
・物忘れの自覚がなく、取り繕うように知っているふりをする


つまるところ、日常生活に支障をきたさないのが老い、日常生活に支障が出るのが認知症、という認識で間違いない。

 

★認知症の種類、そして段階

 

認知症は、

・アルツハイマー型認知症
・脳血管性認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症(FTD)

のタイプで分けられ、どれも当然、脳に関連していて、認知症の半分以上は「アルツハイマー型認知症」である。
アルツハイマー型認知症とは脳に異常なほどタンパク質が溜まり、それにより神経細胞が壊れていく為に脳が少しずつ縮小、ひいては生活に支障が出てくるものである。比較的新しい記憶から障害が出る、女性に多い、また進行がゆっくりといった特徴があり、『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』の著者、松浦晋也さんのお母様もこのアルツハイマー型認知症である。

段階としては、2年から5年という間隔で、

初期

・物忘れが激しくなる・あらゆる管理が出来なくなる・情緒不安定になる・外出が億劫
中期
・記憶障害のさらなる進行・行動障害・運動能力の低下

後期

・徘徊・近所さえも迷う・家族の顔が分からない
といった、実際に自分の親がこんな状態になったところを想像するのが難しい、もしくは想像したくない、という流れで脳を蝕んでいく。

初期症状を見て、ピンと来た人もいるかもしれないが、「あらゆる管理が出来なくなる・情緒不安定になる・外出が億劫」はうつ病によく似ている。
ちなみに『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』の中では、料理好きの母が料理を作らなくなった、綺麗好きの母が怠慢になった、と、思えばというかたちで、認知症の初期段階をつづっている。
言わばやはり、うつ病しかり、あるいはごみ屋敷の住人のように、あらゆるやる気、向上心が欠如するのが認知症の特徴と言えるだろう。

*補足だが、『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』の中で、歯磨き粉やケチャップを使い切る前に新しいものを開ける、食べこぼしが目立つ、スケジュール管理が出来なくなる、ガスコンロの火を点けっぱなしにする、熱心に続けていた太極拳をやめる、等も挙げていた。

 

4.認知症の薬・認知症予防に効果があるとされる食材

認知症の薬はやはり先述した落ちた精神状態の対処法となるもの、つまり、「意欲を高める効果」のあるものが使用される。
代表的なのは、

・アリセプト
・レミニール
・リバスタッチ
・イクセリン
・メマリー


が挙げられるが、今の医学では認知症を根治する薬は存在しない。
もっと言えば、脳にいいとされる、すなわち認知症の予防になるとされる、

・乳製品→イライラの解消
・卵→記憶力を高める
・豚肉→集中力を高める
・大豆→記憶力を高める
・バナナ→幸せホルモン(セロトニン)活性化
・米→脳の状態を良くする
・青魚→脳の神経細胞を作る

も、あくまでも予防なので、すなわち、認知症になってからでは遅い、とも言い切れる。

『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』の著者、松浦晋也さんも、「これさえやっておけば大丈夫」「これを飲んでおけば平気。認知症にはならない」というものは存在しない、と断言している。魔法の杖は存在しないと。

ではこの混沌とした現実の中で、一体どうすればいいのだろうか?

 

 

5.親が認知症にならないようにするには

 

『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』の著者、松浦晋也さんは、「認知症になる確率を下げることはできる」とは述べている。
それが、

・快食
・快眠
・快便

である。
それをずっと続けることが大切だと。

つまりストレスのない規則正しい生活である。

加えて言えば、私見として(『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』を読了した感想として)、

・その単調な生活を送れる環境を作ってあげること
・その単調な生活の中でハリを与えてあげること

これが大切だと考える。

そしてここで、やっと「今からだからこそできること、今だからこそ厄介な未来を回避できる方法がある、というのがこの記事のテーマへと移る。

 

 

6.今だからできること・今からやるべきこと

 

生活にストレスを与えないということは、読者諸君の軽率な行動や言動にかかっているといっても過言ではないだろう。
「両親に心配かけてはいけない」と平たく言えばそういうことになる。認知症にならない環境づくりである。
また、家事の手伝いをする、も「快眠」「快食」へとつながると言える。

さらに言えば、『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』の著者、松浦晋也さんが、認知症の初期段階の症状で「料理好きの母が料理を作らなくなった」「綺麗好きの母が怠慢になった」と述べているが、これは、
「この料理、美味しいね」
「部屋、いつも綺麗にしてくれてありがとう」
という感謝の言葉を述べることで、失われていくやる気の復活、広く言えば生きていく活力になるのではないだろうか?
身体を動かす意味を作ること――それは情動の喚起となり、認知症の予防であり、脳の活性化になると考える。加えて、一緒に食事をするということはコミュニケーションとなり、当然、口が動き、こちらも認知症の予防となるであろう。
親孝行とは決して大きなものではなく、小さな積み重ね、すなわち日頃の感謝をきちんと照れずに肉親に告げることなのではないだろうか?

もっと言えば、生活にハリを与えるということは、ある程度息子がひとり立ちしたことによって発生する喪失感の防止をすることであり、すなわちそれは予定や希望を親に与えてあげることと言える。
「温泉に連れていく」といった予定、「週末に帰るから」という楽しみ、「結婚して孫を見せる」といった希望、「ジムに行けばいいじゃない。若いメンズがいるかもよ」という遠回しの身体を動かすきっかけ作りを与えることが重要ということである。(農業を営む人が若々しく、呆けていないのには、お日様の力と身体を動かしているからと憶測でき、それは確かなメリットがあると言い換えられるだろう)
すぐにでもできることを語るのならば、「メールを頻繁に送ること」これも親孝行であり、認知症の予防となると断言できる。
出せば返事が来るのだ、返事は指を動かし、文面を考えるため、脳を使うのだから。

脳にいい食材を口にするよりも、とても効果が見込める行動がある。
両親のためにも、自分の未来のためにも、今からやること、今から動くこと、それが大切だと考える。

 

 

7.最後に

 

「周囲に手をかけさせることなく他界した」、というこういった未来の確率は繰り返すが低い。だったら開き直り、あるいは思考することを拒否し、「なるようにしかならない」「なった時に考える」といった感想を抱く人もいるだろう。
それもひとつの考えであり、それを否定しないが、お節介にも忠告するのならば、介護はそんなに甘いものではない。
自分さえ頑張ればどうにかなるものではなく、肉体的にも精神的にも、そして金銭的にも、想像以上に厳しく壮絶なものである。『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』の著者、松浦晋也さんは、介護ストレスにより、無意識に「死ねばいいのに」と呟いてしまったほどなのである。愛する母親が死んでくれればいいのにと。

だからこそ、そんな胸が痛くなる未来を回避するために、出くわしたくない暗く深刻な事態から逃れるために、今から考えること、行動してほしいと心から願う。親が認知症にならないことが何より一番なのだから。

最後に補足だが、もし万が一、親が認知症という絶望的な状況に投げ込まれてしまった場合、「地域包括支援センター」へ行くことを『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』の中で薦めていた。
ここでは、これからのこと、今やらなければいけないこと、を的確に教えてくれるそうである。
また、「公的介護制度」をしっかりと利用すること、知ることが大切、とも書いてあった。
その資料(様々な情報)は「地域包括支援センター」にあるそうなので、時間があれば足を運んでみるのもいいだろう。知識と情報が武器になるのは、この認知症という厄介な症状に対しても同じである。

親の健康寿命を延ばすこと――それは介護同様、周りにいる人の力があってこそである。

 

 

「母さん、ごめん。」から見る、決して他人事ではない親の認知症

  • 1. 健康寿命を延ばすこと、それは細やかな親孝行の積み重ねである
  • 2. 地域包括支援センターを覚えておいて損はない

ライター後記

ヘルパーさんっていうのは本当に偉く、凄いな、と読了後、思いました。

 

nokotta

「これ美味い!」「また作ってよ!」とあなたが最後に母親に言ったのはいつですか?

読書が趣味。休日は喫茶店をはしごしながら本を読みまくります。

モテたい?

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