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CMをはさまないアグレッシブな民放ドラマ「やすらぎの郷」について

 

 

目下、ぼくの日々の楽しみとなっているのは「やすらぎの郷」という連続ドラマを観ること。 その連ドラは、「北の国から」の作者である倉本聰さんが筆をとられた作品で、 石坂浩二やら浅丘ルリ子やら加賀まりこやら八千草薫やら藤竜也やらという 往年のスター俳優オンパレード出演の群像劇で、 「やすらぎの郷」と名付けられた高級リゾートのような老人専用の集合住居が舞台のお話です。

話はいったん飛びますが、 連続ドラマというものをかつて夢中にチェックしていた当時の、 ドラマを見る動機のおおきな一つに、 男性の裸なり裸的なものが見られるかもしれない! というものがありました。

それは、インターネットというものが存在しなかった時代に思春期を迎えたゲイにとって、 おそらくさほど変わった動機ではなかったようで、 大人になって同じ性的志向に生まれた友人と、 「だよねー。わかるー」などとそれを分かち合えることも時々あり、 10代の自分の「自分は変態だ」「自分のような人間は他にいないかもしれない」 というような強烈な孤独感が癒されありがたいのですが、 さて、「やすらぎの郷」の視聴動機はさにあらず。

内容やら設定やらを知らない人はサクっと検索していただくとして、 そのドラマを見始めてからぼくは、このドラマはいったい何が面白いのか。 何が面白くてこのドラマを見続けているのだろうか? などと、心の片隅で自問しつづけているのですが、未だすっきりとした答えにはたどり着いていません。

が、こうして書きながら、自分の内側にフォーカスし言葉としてアウトプットを試みながら、 もっとも強い視聴動機は、やすらぎの郷で流れる時間が心地良いからかもしれない、と思い至りました。

その施設は、テレビ業界に功績があった人間が無償で入居でき(施設側から入居の誘いがくる)、 施設内では、夕方から開くBARでのお酒以外、基本的にお金は一切かからず暮らせ、 プライバシー保護のため施設の存在が外部にもれないよう細心の注意が払われている。 また、入居者が希望がすれば施設を運営する財団が窓口となり仕事を行うことも許されている。 つまりは、そこはお金や時間や社会的なプレッシャーやらが抜き取られた現代のユートピアなのであります。

そうした夢のような場所が舞台に設定されているため、 年金が、財産分与が、病気が、というような老人ドラマあるある的なことはまるで描かれず(先々はわからないが)、 では何が描かれているのかというと、それは人間! 年を重ねた人たちのにぎやかな個性が、年を重ねた脚本家の手により面白おかしく描かれているのであります。

夢物語のようなユートピアを虚構のテレビドラマという世界に作ってみせることで、 もしかしたらそのようなユートピアは現実にも作れるかもしれない、などと、 それを目にした人々のどこかに「夢のある老後世界」の種、希望の種を蒔くことが、 テレビドラマ、テレビというメディアが生き残れるあり方なのかもしれない。

なにより、テレビドラマに人生を捧げたとも言える倉本聰さんが、 「倉本聰ドラマ」という実名の責任、覚悟を持って、 今の世の中に感じていることをテレビドラマで表現するという生き様に刺激をもらうのだ。

などなど、思うことは多々ありますが、 もう単純に、石坂浩二を始め超ベテラン俳優陣の演技合戦がすごく面白い! 練られた言葉をしかと演じ合うという芝居の根幹のようなものの魅力、力を、 お茶を飲みながら自宅で楽しめるこの贅沢さ、テレビドラマの真骨頂を堪能できる作品と思います。

なにはともあれ、 テレビで新しいことをやっている、お昼に毎日やっている、 そんなテレビドラマ「やすらぎの郷」、気になったらぜひ見てみてくださいな。
ニュー男子 拝

 

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